歪んだ愛情【更新中】
「可愛いね!背小さそう!信吾くん高いけど」
「俺より25センチくらい小さいよ。ちっちゃくてまた可愛いんだ」
「相当好きなんだね!」
「それは大事な彼女ですから。彼女って大事だよね?」
信吾の目の前で
ひたすら信吾を眺め続ける男に信吾は問いかけた。
「え?あ、彼女?あー。うん」
「何何?倦怠期?」
「いやそうじゃないけど」
信吾からグラスに目を移し、
信吾が目を逸らすと
男はまた信吾を眺め続けた。
「ねえ、彼女みうちゃんって言うの?」
やっと目の前にいる男が話しかけてくれたので
信吾は喜んで答え始めた。
「うん!美しい海って書くんだ。綺麗な名前だろう!」
「そ、そうだね」
少しぶっきらぼうに話す男に首を傾げた。
「ちょっとあんた何挙動不審になってるのよ」
「信吾くんが格好いいから圧倒されてるんじゃない?」
「ちげーよ」
「それともさっき見せられた美海ちゃんの顔が気に入ってしまったとか?」
「あ、駄目だよ!あげないからね!」
「違うって」
また男は下を向き始め、
俯いた。
「大丈夫!あんたも充分格好いいから!」
「そうだよ。うちの学部で彼女持ちながらもダントツの人気を誇ってるんだから!」
「ホント彼も格好いいよね!名前聞いてなかったね。なんて言うの?」
「あ、えーっと」
「はっきり喋りなさいよ。今日変だよ?千歳、淵本千歳。信吾くん仲良くしてやってね」
信吾は満面の笑みでグラスを出し、
もう一度乾杯しようと催促した。
そう、自分の彼女の浮気相手の千歳に。