歪んだ愛情【更新中】
美海の携帯で何度も信吾の顔は見たことがあった。
もう何度も見た。
美海が携帯を開けば
信吾との写メが待ち受けだった。
信吾から着信がくれば
美海の頬にキスをしている
信吾のと写メ。
携帯の画面横に貼ってある
ハートにくり抜かれた信吾とのプリクラ。
その信吾の顔が
電話から戻った飲みの席にあったのだ。
千歳は信吾を見た瞬間
足が竦んで動けなかった。
何も知らずに
笑顔を向けてくる信吾に対しての罪悪感。
自分のもののように美海の事を話す
信吾への苛立ち。
何より、
美海と信吾が
周囲の人間がどれだけ認めているかが
明里の話を聞いて分かってしまった。
それが何よりも悔しかった。
第三者の発言は怖いものだ。
「千歳と彼女はどれくらい付き合ってるの?」
「6年経ったかな」
「え。俺と美海より長い人初めて聞いたよ!」
「千歳の彼女は千歳にベタ惚れだもんね」
「羨ましい!最近うちの美海たん冷たくて」
冷たい理由が自分にあると分かっている千歳は
握りしめた手に汗をかいた。