歪んだ愛情【更新中】
家の外でクラクションの音が聞こえ、美海は急いでメールを消した。
念には念を押し、送信メールも消す。
携帯をポシェットにしまい込み、急いで階段を駆け下りた。
家の前に止まる信吾の車の前には
信吾の他に3人、人影があった。
「俺の彼女。可愛いでしょ!」
車に乗る前に紹介された相手は信吾の学部の友達。
背の高い大人びた服を着た男の子と、少年の匂いが抜けていない裏原系の服を着た背の小さな男の子。
そして、
白いワンピースに黒いボレロを着た小さな女の子。
「遠目で見たことはあったけど、可愛いね!」
「初めまして、美海です」
軽く会釈をして顔を上げると、腕を組む女の子に睨み付けられた事に気が付いた。
女の勘で美海はすぐに気が付いた。
この子は信吾が好きだ。
「夜景見に行こう!って話になってこいつがいい所知ってるって言うから美海も連れて行きたくて」
整髪料で整えた髪を、自らの手で少し壊して照れる信吾に思わず冷たい視線を送る。
もし、この立場が逆だったら別れ話になるまで喧嘩になっていただろう。
報告もなしに知らない男と美海が遊んでいたら、信吾の口からは罵声しか飛びだしてこなかっただろう。