歪んだ愛情【更新中】
高いヒールを脱ぎ、果南の横に腰を下ろし
可愛らしい声を上げて挨拶をする。
「光嶺大の沙耶です。よろしくねー!」
またみんなでよろしく、と言っている中で美海は信吾の肩でだらしない笑顔を浮かべていた。
「ほら、お前も来いよ。マナの隣り座れ。あ、こいつ彼女持ちだからマナ手出すなよ」
「出さないしー」
そう言いながらマナが手招きすると果南が目を細めた。
「千歳ー。ちゃんと挨拶しなきゃ、ホント照れ屋なんだから」
沙耶の発言に
美海は目を開け、
信吾の肩から離れた。
酔いが覚めたように目を大きく開き、
口を開けた。
その沙耶の発言に千歳の隣りに座っていたマナも後退りをし、
亮介に肩を抱かれていた浅見も思わず肩を震わせていた。
果南は大きく溜め息を付き、
美海の手を握った。
「千歳です。俺、時間ないしやっぱり帰るよ」
「何でだよー。さっき明日は休みだって言ってたじゃんかよー!」
「あ、でも2軒目行くだけだと思ってたし、まさか信吾の友達と合流だと思わなくて」
明らかに動揺している千歳に対し、
美海は千歳を見つめたままだった。
「か、果南…」
果南が小さく頷くと、
浅見とマナも頷いた。
「そうだよね。いきなり連れて来られて知らない人ばっかりだったら気まずいよね!」
浅見が声を上げると
その言葉をかき消すように
沙耶の声が店内に響いた。
「沙耶も初めてなんだし、大丈夫だよね?千歳。あーていうか美海ちゃんでしょ?さっき信吾くんに散々自慢されてたから顔覚えちゃったよー!」
美海を指さして声を上げた沙耶に驚き、
美海は千歳から目を逸らした。