歪んだ愛情【更新中】
千歳に目を向けられない。
信吾の手は美海の肩を抱いたまま離さない。
「美海?具合悪い?」
「だ、大丈夫。ちょっとトイレ行ってくる」
トイレに行こうと立ち上がると
果南も一緒に立ち上がってくれた。
「大丈夫?あたしも一緒に行くよ」
「うん。ありがとう」
背中を押され、
早々とトイレに入って行く。
「噂の千歳だ。ちゃんと顔見た事ないから自己紹介の時びっくりした」
「うん。あたしもさすがに動揺した。どうしよう…」
「信吾が千歳の事帰す気ないもんね。美海が帰るって言ったら信吾も帰るだろうし」
美海が頭を抱えていると、
扉がノックされた。
「あ、えーっと、」
「ちょっといいかな?」
「長居すると怪しまれるよ」
果南との会話に耳を傾け、
顔を上げると千歳が立っていた。
「ごめん、俺今日何も知らなくて」
「千歳のせいじゃないよ。信ちゃんわがままだから多分千歳の事帰してくれないと思う」
「でも俺あの場にいたくない」
「あたしもだよ」
「美海は俺がいて動揺するからだろう?俺は目の前で美海は信吾の物です、って言われてる気がするんだ。2人を見ていて辛くなる。悔しいよ」