歪んだ愛情【更新中】
駅まで歩きながら信吾は楽しそうに今日の話をしている。
浅見と亮介が付き合ったことが嬉しかったようで
信吾は意気揚々と話をし続けた。
「ねえ、信ちゃん。うち行かない?」
「え?こんな遅くに?美海のお父さんに怒られるよ」
「大丈夫だよ。もう寝てる」
久しぶりに家に誘われた事に信吾は嬉しそうに笑った。
反対に美海の顔は強ばったままだった。
電車の中でも美海は頭を抱えたままだった。
持病の偏頭痛が脳を揺らす。
美海の体はわがままだ。
嫌な事や不満事があるとすぐに具合を悪くする。
偏頭痛を起こしたり、
貧血も起こす。
血の気が引いてしまうのだ。
でもそれを信吾も果南たちも理解してくれている。
体が弱いんじゃない。
美海自身の心が弱い。
「なんか嫌な事あった?俺が友達連れて来たの嫌だった?」
必死に首を振り、自分の頭の中を整理する。
嫌な事はこれから起こるのだから。