歪んだ愛情【更新中】
「気合うもんな。俺は4人でいるのを見るのが好きだけど」
後ろから小さな舌打ちが聞こえる。
「信吾は女がタバコ吸うの嫌じゃないの?あたしは吸わないけど」
美海は段々苛立ちを隠せずに、消したばかりの煙草をもう1本口にした。
「俺?嫌だけど美海ならいい。美海自身が好きだから」
「のろけんな!てめえ!」
後ろから運転席を揺らされ、ハンドルが大きく左右に動く。
車が横に振れ、思わず美海は携帯を落とした。
シートの下でまた携帯が震えている。
「浅見?」
「明日遊ぶからその話」
メール開いて顔が緩まる。
安心感と自分の逃げ場への喜び。
-千歳飴とか小さい頃からかわれたよ。じゃあ千歳って呼んでください。照れくさいな。-
小さく息を吐いて笑ってしまう。
照れくさいって可愛い。
そんな事を頭に浮かべながら素早くメールを返していく。
楽しくて手が止まらない。
運転する信吾の左手が、ライトで反射して指輪を輝かせた。
3年募らせた愛の形。
ちっぽけだな、
思わず指輪から目を逸らした。
この距離はなんだろう。
離れているのは美海の気持ち。