歪んだ愛情【更新中】
「殴ればいい、気の済むまで、気の済むまで殴ってくれよ。でも美海は渡せ、」
「だから黙れよ」
千歳にまたがり、信吾はさっき蹴飛ばした口元に拳を落とした。
「誰もてめえの話しなんか聞いてねーよ。美海は渡せない?てめえのものじゃねえ。何回殴ったって気は済まねーっつうの。むしろ死ねよ」
信吾の手が千歳の首に掛かった。
「信ちゃん、信ちゃん!それは駄目!信ちゃん!千歳が死んじゃう!」
奇声をあげ美海は泣き叫んだ。
「信吾!」
信吾が千歳から離れ、地面に叩き付けられた。
「美海!!!」
顔を上げると
泣きながら果南が飛びついてきた。
果南の泣き顔なんて何年ぶりに見ただろう。
「美海ー!!」
浅見に後ろからきつく抱きしめられ、
美海はそのまま泣き崩れた。
亮介に抑えられる信吾の横で
千歳が痙攣したまま動かない。
「離せよ!亮介!離せって!」
「信吾!落ち着けって!お前美海ちゃん見ろよ!ちゃんと美海ちゃん見ろ!」