歪んだ愛情【更新中】


ガソリンがやばい、
そんな事をつぶやきながら信吾は車を走らせた。


確かに長い距離を走り、
それから車は使っていない。

軽井沢に来るまでの間でだいぶ消費してしまったようだ。

それにこの別荘は随分山奥にある。


今から買い物に行く旧軽井沢銀座は車で行っても1時間半は掛かる。


運転しながら「大丈夫かな?もつかな?」と何度も嘆く信吾に美海は軽い息を吐いて笑った。


「何?何か可笑しかった?」


真剣な目で笑った意味を問いただす信吾にもう一度美海は笑いを掛けた。


「免許取りたての頃覚えてる?」


突然懐かしい話しをし出す美海に信吾は首を傾げた。


「あたしが大好きなテーマパークに行きたいって言って2人で高校さぼって遊びに行ったじゃん?あの時帰りの高速で、ガソリンが無くなりそうで慌てて高速下りたじゃん。下りた場所が霞ヶ関でさ」

「俺が桜田門の前でおどおどして、補導されないかって言ったやつ?」

「そうそう。もう夜だし、車の中まで警察だって顔見えないのに頑張ってサングラス掛けて顔隠そうとしたやつ。思い出したら笑えた」

「夜にサングラス掛けて運転したら危ないよ、って警察に止められたんだよね」


2年前の昔話に花を咲かせた。


こんな風に2人が話すのも本当の意味で久しぶりだ。

この1年、必死に作り笑いをして
必死にその場に耐えてきた美海にとって温かい空気だった。


車でデートしても必死に信吾が話すばかりで
素っ気ない返事を美海はし続けてきた。


でも、
今の状態でそんな事は出来ない。

そんな考えからなのか
自然に笑みをこぼして信吾と話しをしていた。


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