歪んだ愛情【更新中】
長い山道に美海は車酔いをした。
目の前に広がる夜景に目がいかない。
車の中でうずくまり、信吾の仰ぐうちわの風を浴びていた。
3人はもう外で夜景を堪能している。
「美海怒ってる?何で?」
捨てられた犬のようにうちわから顔を出し、信吾が見つめてくる。
口に押さえたハンカチを取り、信吾に思い切り投げつけた。
「何で怒ってると思ったか自分で考えろ!」
寝返りを打ち、ドアの方を向く。
気持ち悪さと怒りで涙が止まらない。
「あいつ?いや、男3人で遊ぶはずだったんだよ!でも待ち合わせ場所にいてさ。俺もビックリしたんだ!」
「ふーん。この車買ったとき助手席に美海以外の女は乗せないって言ったよね?」
「助手席じゃないと乗らないって言い出してさ」
あー言えば、こー言う。
言い訳を綺麗に並べる信吾に悔しくて
お気に入りのクッションを引きちぎってしまいそうだった。
思い切り振り返り
狭い車内で美海は怒鳴り散らした。
「あの子信ちゃんの事好きだよ!見てれば分かる!彼女目の前にして嫌味飛ばすんだもん!果南たちの事までバカにして!もう帰りたい!あんな子と一緒にいたくない!」
止まることの知らない涙は、
美海の頬を止めどなく流れた。
ハンドルを抱え込み、
信吾はため息を付いた。