歪んだ愛情【更新中】
箸を口に運ぶ美海を
信吾は優しい瞳で見つめる。
「電話したとき、みんなにちゃんとご飯食べろって言われた」
そっか、と笑みをこぼし
信吾は飲み終わったコップに麦茶をつぎ足していく。
ほら、あたしが普通に接すれば信ちゃんはこんなに優しい。
そう心の中で呟き、
また箸を口に運ぶ。
「明日は何する?」
「アウトレットでも行く?」
「何か買って」
「でたよ、美海の何か買って。俺それに弱いんだよ」
大丈夫、昔の2人だ。
いつもの信吾だ。
大丈夫、戻れる。
信吾は優しい。
同じ事を頭の中で繰り返し、
食べ終えた食器を片付ける。
洗い物をする美海の横で
信吾は冷蔵庫をあさっていた。
「あ、酒だ」
「飲みたい!」
信吾が冷蔵庫から取り出したのは
缶チューハイとビールだった。
どっちも好きじゃない、
と嘆く美海に明日カシスかマリブを買おうと
信吾は優しく微笑んだ。