歪んだ愛情【更新中】
「夜景撮ってるの?」
カメラモードにして携帯を夜景に向ける。
黒い景色に散りばめられた多くの光たちが美海の心を和らげる。
空気が揺れて、光が動いているように見える。
山の上で少し冷える体を信吾が後ろから温めてくる。
「寒い?」
「ううん。もう平気」
こういう細かい気遣いが好き。
高いヒールを履いてのデートは1時間に1回座ってくれる。
手を引いてゆっくり歩いてくれる。
信吾のこういう所か美海は好きだった。
良い所はあげられる。
でも悪い所はもっとあげられる気さえする。
それくらい美海のしこりは大きくなりすぎていた。
「誰かに送るの?」
「浅見に」
そう言って添付したメールの相手は
もちろん浅見ではない。