歪んだ愛情【更新中】
「どうして…」
一度もなかった。
美海を思い必ず信吾はつけていた。
「子どもが出来たら一生美海を縛れるね」
まったく笑っていない顔を見て、
体を勢いよく引いた。
思わず口を塞ぎ、
涙の溜まる目で信吾を睨み付けた。
「何だよ」
「こんなの信ちゃんじゃない!」
枕を思い切り投げつけ、
そのまま頭を抱えた。
「誰がこうしたんだよ!誰がこんな風にしたんだよ!頼むよ…」
前髪を力強く握り、信吾は目線を落とす。
初めて見る信吾の涙。
強くて、絶対に泣かない。
泣く美海を優しく慰めてくれる。
そんな信吾が
目の前で泣いている。
信吾の頬が濡れていく。
その姿を美海はただ呆然と見つめていた。
「頼むよ、俺に美海を傷つけさせないでくれよ…」
何も言えずにただ信吾を見つめた。
掛ける言葉すら見つからない。
そうだ、自分の責任なんだ。
そう思いながら、座り込んだまま動けずにいた。