歪んだ愛情【更新中】
そのまま信吾は部屋から出ていった。
美海は何も言えずに、
さっき信吾のいた場所を眺めた。
誰よりも負けず嫌いで、
泣くことを拒むような人だ。
そんな信吾を泣かせた。
誰よりも美海思いで、
美海を傷つける事を許さないような人だ。
そんな信吾が自分を傷つけている。
涙は流れない。
ただ自分の想いを殺すのにいっぱいだった。
まだ千歳が好きで仕方ない。
あの包みこむ温かい腕も、
特徴のある笑い方も、
優しい声も、
あの細い目の奥にある瞳も、
まだ愛してる。
でも美海はその想いを必死に殺した。
このままじゃ
信吾が壊れてしまう。
このままじゃ
信吾を壊してしまう。
「ごめんなさい、ごめんなさい…」
天井を見つめ
何度も謝り続けた。