歪んだ愛情【更新中】
リビングのソファーで1人涙を流しながら信吾は煙草を吸う。
自分でもどう気持ちの整理をつけたらいいのか、
どうしたら美海を傷つけずに済むのか、
まったくわからなかった。
ただどうしても
一つ一つ過剰に反応してしまう。
裏切られた事が自分にとって重すぎる。
でも、
考えると自分も今まで同じ事で美海を傷つけた。
その事を考えるたびに頭を振る。
俺は単なる浮気だ。
あいつの場合は本気だ。
頭の中で言葉を
繰り返す。
怖いのは
美海の泣き顔に反応しなくなった自分。
美海に手を挙げるときに
躊躇しない自分。
また美海が離れる事より、
自分がおかしくなる方が怖い。
それでも感情のコントロールが上手く出来ない。
それほど信吾は傷ついていた。
人間誰でも持っている奥底に眠る歪み、
今信吾は自分の中の歪みをすべて表に出している。
冷蔵庫を開け、
ビールの缶を取り出した。
プルタブを引くと炭酸の抜ける音が耳につく。
鼻先にビール独特の匂いが香る。
喉を鳴らしながら一気に飲み干し、
缶を片手で握り潰した。