歪んだ愛情【更新中】
たくさん並ぶ木の間を通り抜け、
美海はひたすら歩いた。
この奥に何があるかは知らなかったが、
ただひたすら歩いた。
目が人よりも少し良い美海は、
木の間にある小屋を見付けた。
小屋に板がぶら下がっている。
「お店?」
字までははっきり見えないが
板に何か書いてあるのはわかった。
足早に小屋へ向かい、
木の間をすり抜ける。
小屋の目の前に立ち、
中の様子を伺う。
かすかに話し声が聞こえ、
そっと扉を開けた。
「あ、いらっしゃい」
その声に驚き、肩をすくめる。
コーヒーの匂いが鼻をかすめた。
「1人?」
「は、はい」
笑顔を振りまく女の人がゆっくりと近付いてくる。
「何処から来たの?」
「あっち」
指の方向を見て、女の人は頷いた。
「あの大きな別荘ね。娘さん?こんなに大きかったかしら?」
この人はどうも信吾の家の事を知っているようだ。