歪んだ愛情【更新中】


事情を聞くと、信吾の家族はここに訪れたことがあるらしい。


当然信吾の事も知っていて、
格好いい男の子よね、と話していた。


「彼女?うらやましい。あんないい男を連れて歩けるなんて!」


興奮気味に話す女の人は
この山小屋カフェ、「キャノ」の店主らしい。


「いい男じゃなくて悪かったな、連れて歩く男が」


カウンターの奥から細身の男が顔を出す。


黒い縁取りの眼鏡を掛けた男が優しく美海に微笑んだ。


「あ、うちの旦那。山小屋カフェやりたいっていうあたしに付き合ってくれてる理解者」


普段は2人とも千葉で暮らしている。

長期休みのときだけこの山小屋カフェを開き、
ここに寝泊まりしている。


「何か飲む?」

「苦くないやつ」


椅子に座りながら辺りを見回す。


ここに訪れたカップルの写真が目につく。

番組で訪れたのか、芸能人の写真とサインもあった。


目の前に置かれたカプチーノを見て美海は笑みをこぼす。


カプチーノには絵が書いてあった。

今色んなカフェで取り入れられているものだ。







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