歪んだ愛情【更新中】
優しく微笑むモモにムーヤンがそっと紅茶を差し出した。
ありがとう、それだけ言うとすぐにモモは紅茶を口にした。
すぐに奥へ戻ってしまい、ムーヤンはまた奥で何かをし始める。
「モモさんは愛されてますね」
「え?何で?」
「だってモモさんが飲みたいってわかってたから、ムーヤンさんは紅茶を持ってきた。何も言ってないのにモモさんの事をすごく理解してる気がして」
モモはムーヤンを眺めた。
「もう8年も一緒にいるからね。私はおしゃべりする時に何か飲みながら話すのが好きなの。飲み物の中でも紅茶が好きでね、それをあの人は知ってるだけ」
また紅茶を口にする。
湯気で少し顔が曇ったが、照れくさそうに話していた。
「そういえば名前は?」
「小川美海です。美しい海で、美海です」
「綺麗な名前ね」
その言葉でいつも浮かぶのは信吾の顔だ。
信吾が最初に話したときに
綺麗な名前だ、っと言ってくれたから。
でも、今浮かんだのは千歳の顔だった。
千歳もいい名前、と褒めてくれた。
美海は千歳の顔を思い出し、
顔を歪める。
首を傾げるモモに、
美海は苦笑いを返す。