歪んだ愛情【更新中】
「浮気なんて出来ないよ。こいつでいっぱいいっぱい!」
少し嫌味を言うようにムーヤンは店の準備を始めた。
どうやらまだ開店していなかったようだ。
「あ、あたしも準備しなきゃ」
いきなり椅子から立ち上がり、
モモは慌ただしくエプロンをつける。
「あの!また来てもいいですか?」
「いつでもどうぞ。お話したかったら今みたいな時間がいいわね」
花が開いたような笑顔を見せて、カウンターの奥へと入って行った。
「途中まで送るよ」
ムーヤンが扉を開けながら手招きをする。
「お店の準備は?」
「コーヒーを煎れられるのも、料理も、ここのメニューはあいつにしかこなせないんだ。俺はただのウエイトレスみたいなものだよ」
納得したように頷いて、
ムーヤンの横を歩く。
出会いやなれそめを聞こうをすると、
ムーヤンは照れ始め、「モモに聞いてくれ」と自分からは何も答えてくれなかった。
一瞬大きな風が吹き、
木の葉がざわめいた。
目にほこりが入り、
立ち止まって目をこする。