歪んだ愛情【更新中】
ムーヤンが「あ、」と声を上げたので目を開くと、
前から人が歩いてくる。
目にはっきりと映る顔は
笑顔もなく、ただこちらを睨み付けていた。
信吾がゆっくり足を運びこちらに向かってくる。
ムーヤンは笑顔で「お迎えだ、いい彼氏だね」と微笑んだ。
そのまま手を振り、急ぎ足でその場を去って行く。
愛するモモの待つ山小屋カフェに急いで帰る。
でもその姿をどうしても追い掛けたかった。
この場に1人になるのが、
ものすごく怖かった。
あと15歩、
あと10歩。
信吾が近付いてくる。
モモの元に帰る前に、
ただ送っただけという説明をしてほしかった。
今から何を言われるかなんて想像が付く。
信吾の体が目の前に立ち、
お互いの影が重なるくらい近付いた。
「何してたの?誰?あの男?」