歪んだ愛情【更新中】
冷たく見下ろされ、目線を逸らす。
信吾の手には携帯ショップの袋が下げられていた。
「あ、携帯…」
思わず言葉を漏らす美海に袋を隠した。
美海を睨み付け、
信吾はもう一度問いただす。
「誰?」
美海は一生懸命説明をする。
「信ちゃんも行った事あるんでしょ?」
「じゃあモモさんに送ってもらえば良かったんじゃないの?」
モモは店の準備があった、と説明したはずなのにそれでも疑いの目はやまなかった。
思い切り腕を掴み怒鳴り散らす。
「男と2人きりになるんじゃねーよ!!」
殴られる!
そう察知した美海は一気に身を引いた。
「ごめんなさい…」
「謝るってことは何かやましい事があったのかよ!」
ムーヤンと2人きりになった事を謝ったが、信吾の捉え方はまったく違うものだった。
必死に首を振り、
否定をし続けた。
体こと突き飛ばされ、
美海はその場に倒れ込んだ。
グレーのパーカーに汚れがつく。
その汚れを落としながらあの日の事を思い出した。
信吾に殴られながら汚れていく千歳のTシャツ。
どうしても千歳が浮かんでしまう。
何をしていても最後は千歳に繋がってしまう。