歪んだ愛情【更新中】
別荘の近くまで来ると話し声が聞こえた。
信吾が誰かと話している。
話し声ではなく、
一つだけ怒り狂う声も聞こえた。
「美海は?何処にいるの!」
その声を聞き、美海は思い切り走り出した。
少し冷たい空気が頬を刺す。
久しぶりに走った美海は息を切らして声を上げた。
「浅見!!!」
足を止める事なく、浅見に飛びつく。
周りは目に入らなかった。
後々亮介の存在に気が付いた。
美海の体を強く抱き寄せながら、浅見は涙を流した。
「美海、痩せたね」
「そ、そうかな?」
抱き合いながら会話をした。
浅見の声が耳をくすぐる。
やっと離れた体を見て、浅見はまた荒れた声を信吾に突きつけた。
「何で美海汚れてるの?」
信吾をきつく睨み付けながら、浅見はまだ落ちきっていなかった汚れを落としていく。
黙り込む信吾を睨みながら浅見が口を開こうとする。
「転んだの。あたしが勝手に転んだの」