歪んだ愛情【更新中】
転んだ美海をそのまま置いてきたのか、
信吾はそんな事をするような奴ではない。
浅見も信吾との付き合いは長い。
信吾の性格はよくわかっている。
でも笑顔で転んだ事を主張する美海を見て、
言いかけた言葉を飲み込んだ。
「2人はどうしたの?」
浅見を見てから亮介に目線を送り、
美海は久しぶりの本当の笑顔を振りまいた。
というより安心したのだろう。
少しは信吾から開放される事を。
「大阪に旅行行くはずだったんだけどね、ずっと念願だったWデートをしたくて軽井沢来ちゃいました!」
この笑顔が好き、と浅見がよく言っていた。
その浅見の好きな笑顔を見せながら亮介は信吾の肩を叩いていた。
少し嫌な顔を一瞬見せたが、
信吾は別荘の中に2人を招く。
入るなり浅見が騒ぎ出し、
亮介は車から荷物を降ろしていた。
「さすがだね!社長の息子」
少し鼻を鳴らして、信吾が自慢げに空いている寝室に2人を案内する。
その後を追うように美海も階段を上った。
案内された部屋は美海と信吾のいる部屋より、二つ離れた部屋だった。
美海は着替えをするために
自分たちの部屋へ入っていく。
部屋の中を見回して、
浅見に見られたら困る物はないか、と部屋を歩き回った。