歪んだ愛情【更新中】
何も言ってない?と聞くように信吾が睨むので美海は笑顔をこぼす。
「突然だったからびっくりしたね」
「そうだね」
厄介だ、とでも言うように信吾は表情を濁した。
扉の向こうから浅見の叫ぶ声が聞こえたので、
2人は急いで部屋を出た。
「どうしたの?」と扉を開けた2人に浅見は半べそで携帯を広げた。
「圏外何だけど!」
「山奥だもん、当たり前でしょ」
流すように話す信吾に浅見は美海を見つめた。
何かあってもこれじゃ助けも呼べない、そう心配したのだ。
わざとだ、わざとこの場所を選んだんだ!
そう確信をし、浅見は足早に階段を下りていく。
信吾は浅見を追い掛けた。
部屋に取り残された美海は荷物を取り出す亮介を眺めた。
「浅見が来たいって言ったの?」
「ううん、俺だよ」
「浅見なんか言ってた?」
「特に。ただ美海ちゃんのこと心配してた、毎日ね」
浅見は絶対何かに気が付いている。
さっきの会話と
携帯を見た後に見る目で美海は確信した。