歪んだ愛情【更新中】
2人で冷蔵庫の中をあさる姿を見て
浅見は下唇を思い切り噛んだ。
美海は何を我慢しているのだろう、
美海は何で嘘を付くのだろう、
何も出来ない悔しさで浅見は涙を目に溜めた。
そんな浅見の目を手で覆い、
小さな声で亮介は囁いた。
「これが千歳くんのためなんじゃない?美海ちゃんが出来る精一杯の千歳くんへの愛情だよ」
「でも!」
と大きな声を上げる浅見の口に亮介は人差し指を置く。
「もし、何か確証を得たときは俺も一緒に動くから。今は2人を観察しよう」
顔から手を離し、安心させるように亮介は笑った。
「浅見!ビールあるよ?」
缶を二つ手に収め、笑顔で差し出す美海から二つとも受け取る。
「美海はビール飲めないでしょ」
浅見はプルタブを引き、美海の頬に冷たい缶を当てる。
美海の後ろで信吾はマドラーを回しながら、リビングに戻ってきた。
「はい、カシスコーク」
コップを差し出し、美海はそのコップを急いで受け取る。
浅見の持つ缶に、音を鳴らしながら当て2人で一口目を口にした。