歪んだ愛情【更新中】
ふと頭によぎったのは信吾の涙。
信吾の頬が濡れた日、
後悔はした。
信吾を傷つけている事で
心を痛めた。
やっぱり信吾も大事な人なんだ、
心の中で呟き信吾の顔を見つめる。
体が竦んでしまうくらい冷たい目をしながら運転をしている。
信吾も大事な人、
それは美海の錯覚にしかすぎない。
一緒にいる時間が長かった、
信吾に守られていた時間が長かった、
ただそれだけ。
暴力を振るわれて
この人が大事、と思えるのは
幸せだった頃を知っているからだ。
今が幸せか、
と聞かれてきっと美海は
「幸せです」なんて答えないだろう。
それでも美海はその錯覚の中で我慢をし続けた。