歪んだ愛情【更新中】
第6章 指輪
世間はお盆が始まり帰省ラッシュを迎えていた。
東京に向かう道路に車は少なく、
反対側は渋滞が続いていた。
空いた道路を軽快に飛ばし、
2台の車は時々遊ぶように並んで走った。
スピードで信吾の車に勝てる事はなく、
亮介の車を置いて走る。
車の中で流れる音楽は信吾の好きな曲ばかり。
いつもは美海の好きな曲が流れる車内に違和感を感じる。
口数の少ない信吾の考えが読めず、
美海は無理矢理会話をした。
相づちしか打たない信吾に苛立ちを見せるが、
信吾を怒らせないために何度も息を飲み込む。
ハンドルを握る手を見つめ、
美海は首を傾げた。
何かがおかしい。
でも何がおかしいのか気が付くことは出来なかった。
パーキングエリアで飲み物を飲む信吾の手をもう一度見つめたが、
やっぱり何かがおかしい。
自分の手を見つめ、
違いを探したがやっぱり見つからない。
浅見の手を見つめ、
亮介の手を見つめるが違いはない。
ひたすら首を傾げ、
悩み尽くす。