歪んだ愛情【更新中】
「何があったかは聞かないから。でも何かあって俺に会いに来たいって思ってくれた美海の気持ちが嬉しいよ」
優しい笑顔を向ける千歳の腕にしがみつき、
美海は下唇を噛み締めた。
「千歳にとって綾ちゃんは今価値のある存在?」
「価値?」
「信ちゃんが美海は存在自体に価値があるって」
「それは分かる。俺にとって美海は存在自体に価値があるよ。美海がいるだけでいい。早く自分のモノになればいいと思ってるし、俺は美海を大事にする自信がある」
真っ直ぐ目線を逸らさずに
言葉を発する千歳に嘘は無かった。
「だからこそ綾とは終わらせたい。綾は俺を変えてくれた女だし、綾自身には価値溢れる奴だよ。でも俺にとってそれがデメリットなんだ。綾といたら俺は幸せになれない。いつまでもわがまま言い放題の駄目な人間になる」
「あたしと千歳って何でこんな想うようになったんだろう」
「フィーリングじゃない?気が付いたら美海が好きで好きで仕方なかった」
「あたしもそうかも」
人という存在を価値で表すべきじゃないかもしれない。
でも
存在自体に価値がある、
これほど恋愛で大きい言葉はないだろう。
目が合って、
そのままベッドに倒れこんだ。
温かい唇が重なり、
もう美海も千歳も止まらなかった。