歪んだ愛情【更新中】
ただのメル友。
そう自分に何度も言い聞かせ、美海はやっと落ち着いた。
携帯のバイブレーションにいつもよりも大袈裟に反応してしまう。
「なんだ。マナか」
3人同時に送信されているメールには写真が添付されている。
弟と撮った写真。
「別に見たくないし!」
マナの弟なんてもう何百回も見てきている。
マナを追い掛けて同じ高校に入学して、マナを追い掛けて今同じ大学に通っている。
超シスコンの弟だ。
ブラコン!とビックリマークを付けて送ってやった。
送信直後にまた携帯が震える。
-今から迎えに行ってもいい?-
「次は信ちゃんか。なんでこんなに焦ってるんだろう」
信吾のメールになんで?と返信をして抱き枕をきつく握りしめる。
美海にとって男と意識してメールをするのは久しぶりだった。
携帯に入っている男と言えば、信吾と兄とお父さん、
高校の友人3人の6人だけだった。
その3人も信吾の連れ。
他の人はいとも簡単に信吾に消されてしまった。
大学で新しい男友達を作る事は許されず、
入学して話した男と言えば教授と信吾の友達亮介くらい。
話している所を目撃されたらその瞬間その男はどこかに消されてしまう気がする。