【完】俺のこと、好きでしょ?
そろりと有馬くんの背後から、有馬くんが描いてる絵を覗き見る。
普段は淡々としてる有馬くんが、どんな絵を描くのか少し見てみたくなったからだ。
チラッ。
「……うわっ」
な、なにこの絵……。
「何?えげつない声出して」
怪訝そうな顔で、有馬くんは振り返った。
そしてあたしの引きつった顔を見て、さらに怪訝そうになる。
相当すごい顔してたのかな?あたし。
いや、すごいのはあたしの顔じゃなくて。
「それ……すごくないですか?」
「は?」
「有馬くん、絵うますぎ……」
チラ見するだけだったはずの絵だが、もうこの際どうだっていい。
キャンバスに彩られている絵は、美しい風景画だった。