【完】俺のこと、好きでしょ?
「自分が決めた道を行きたいって思うのは、普通のことなんじゃないかな?それなのに有馬くんは、棗先輩の選択を自分勝手って言うの?」
ギュッと強く、拳を握る。
有馬くんの目が、大きく見開かれた。
「あたしは、そっちの方がおかしいと思う」
「…………」
……言ってしまった……。
しばらくの間、お互いの間に沈黙が流れる。
あたしはまた無関係なのに、余計なことにまで口出しして……。
思わず頭を抱えたい衝動に駆られた。けれどさっきの言葉が、あたしの本音だった。
だって、あんなこと言うの有馬くんらしくない。
誰の言葉にも左右されずに自分の意思を崩さない有馬くんが……あたしにはかっこよくて、羨ましくて……。
次第に惹かれてしまうほどに、憧れていたのだから。