【完】俺のこと、好きでしょ?
「…………」
「……え、有馬く……」
有馬くんは無言のまま、あたしになにもいい返さずに踵を返して美術室を出て行ってしまった。
パタンと閉まったドアを、呆気にとられながらも見つめる。
有馬くんがいなくなった美術室は、一気に空虚になった気がした。
まるでさざ波が引くように行っちゃったな……。
ひとりぼっちになってしまったあたしは、視線を床に落として破れた紙を拾った。
キレイな横顔の女性……それがもう今では、半分に引き裂かれている。
「どうにか繋ぎ合わせられないかな……」
後ろからテープで貼れば、形だけは元に戻るかもしれない。
この絵を未完成のままにして置くのは、なんだか惜しい。