【完】俺のこと、好きでしょ?




あんたのせいで……なんて言いつつも、こうやって気にかけてくれているとこ、優しいよね。



……嬉しくて、泣きそう。



って、あれ?


あたしいつの間に、さっきの涙、引っ込んでたんだろ?



気づかないうちに、有馬くんがあたしを笑顔にしてくれていたことに気づく。



ああ、やっぱり有馬くんはすごい。



彼の手はまるで、魔法の手だ。


素敵な絵を描いて、人を笑顔にしてくれる。幸せにしてくれる。



あたしは泣きたい気持ちを我慢して、自然に笑っていた。



「こんな絵を見たら、お腹空いてきちゃった!今日の夕飯何かなぁ?」



ウキウキしながら家の晩ご飯を想像してみる。ああ、それも楽しみだ。


オムライスやハンバーグだったら、なんてタイムリーだろう。



「能天気なやつ」



チョークを置いて、手の粉を払いながらあたしに向き直る有馬くんの瞳は、とても優しかった。



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