【完】俺のこと、好きでしょ?




「今日は……ごめん」



すると突然、有馬くんが謝ってきた。



「え?」


「昼休みのあと、美術室でのこと」



言われて思い出す。今日の昼休みの後の出来事。



「俺、関係ないあんたに八つ当たりしてた。だからホント、ごめん」



「そ、そんな!謝らないで!あたしだって、勝手に偉そうなこと言って、深入りしすぎだったなって……」



「いや、あんたの言葉、図星だったよ」



……え?



「俺が棗の決めたことに文句言う筋合いはないって言われて、確かにって思った。
なんか、的確なこと言われてハッとしたっていうか……あのあと、ちょっと色々考えてたんだよね」



だから、授業に戻ってこなかったのかな。




「俺っていつも、棗の背中ばかり見てきて、ちゃんと向き合ってこなかったんだなって思い知らされた。だからあいつは、留学することを俺に言わなかったんだと思う」



棗先輩のことを、あいつと呼ぶ有馬くんは、なんだか切なくて、悲しくて……あたしまで胸が苦しくなった。


……それくらいに、棗先輩のことが好きなんだね。


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