【完】俺のこと、好きでしょ?
「あんたはすごいと思う。逃げないじゃん、何からも。
どんなことも諦めずに真剣に向き合ってる。そういうの、簡単にできることじゃないと思う」
「…………」
「俺には到底、マネできない」
まるで、もう諦めてるみたいな言い方。
わかってないな……有馬くんは。
あたしが今こうやって、前を向いていられるのは有馬くんのおかげなのに。
あたしはギュッと自分の拳を握った。
スゥッと大きく息を吸って、覚悟を決める。
「グズグズしてないで行動したら? そういうの、あんたらしくない」
有馬くんは、あたしの言葉に目を丸くする。
あたしは笑って、語りかけるように言葉を紡いだ。
「何もせずに悩んでるのって、あんたの性に合ってないよ」
目の前にいる有馬くんは、ただあたしを見つめている。
思い出してくれただろうか?
あの日君がくれた、魔法の言葉を。