【完】俺のこと、好きでしょ?
「あのさぁ」
いつもと変わらない、有馬くんの声が聞こえる。
ただ、中の様子がわからないから、とてもドキドキした。
「あの人になんでも頼むの、やめてあげてくれないかな」
「え……?」
「しっかりしてて頼りになるし、なんでもかんでも引き受けてくれるけど、それが平気ってワケじゃないから、あの人」
……え?って思ったのは、中にいる彼女達だけではない。
ここにいるあたしもだった。
「本当はすげー要領悪いし、色んなこと引き受けすぎて手がいっぱいで泣いちゃってることもあるから、今しんどいと思うんだよね」
「…………」
「でもなんか、人の役に立つとうれしーとかバカみたいなこと言ってるから、たまにはあの人に感謝してあげて。たぶんそれだけで、心救われると思う」