【完】俺のこと、好きでしょ?
そっとあたしの手を取り、出血している腕を真剣な眼差しで見つめる有馬くんに、胸がドキドキする。
……なんか、緊張するなぁ。
「もっと腕、ちゃんと見えるように伸ばして」
「は、はい」
無意識のうちに力が入ってしまったせいか、ちょっと引っこませてしまっていたみたいだ。
言われた通り、グッと力を込めて伸ばしてみる。
「お地蔵さん」
「えっ」
「なんでそんなカチコチなの。もっとリラックスしてよ」
「それは……その、手当てしてもらってるから……」
「手当てするだけじゃん」
だって、相手は好きな人だし……。
「緊張するよ……少しは」
「変なの」
変なのは、いきなりお地蔵さんとかつぶやいた有馬くんのほうですって、言い返したくなった。