【完】俺のこと、好きでしょ?



そっとあたしの手を取り、出血している腕を真剣な眼差しで見つめる有馬くんに、胸がドキドキする。



……なんか、緊張するなぁ。



「もっと腕、ちゃんと見えるように伸ばして」



「は、はい」



無意識のうちに力が入ってしまったせいか、ちょっと引っこませてしまっていたみたいだ。


言われた通り、グッと力を込めて伸ばしてみる。



「お地蔵さん」


「えっ」


「なんでそんなカチコチなの。もっとリラックスしてよ」



「それは……その、手当てしてもらってるから……」



「手当てするだけじゃん」



だって、相手は好きな人だし……。



「緊張するよ……少しは」



「変なの」



変なのは、いきなりお地蔵さんとかつぶやいた有馬くんのほうですって、言い返したくなった。


< 158 / 462 >

この作品をシェア

pagetop