【完】俺のこと、好きでしょ?
「昨日言った約束、守ってよ」
顔を上げた先にいた相手を見て、スゥッと全身の力が抜けていくのがわかった。
落ち着いた声に、優しく重なる手。
「自分のこと大事にするって、言ったクセに」
有馬くんは、男子生徒達には近づけさせまいとでも言うように、あたしを自分の方へと引き寄せてそう言った。
そして、その何を考えてるかわからない瞳を彼らに向ける。
あたしとは違って、怒りという感情はなくて……冷静で……。
「俺に嫌がらせすんのはいいけど、この人を巻き込むのはやめて。本気で危なっかしくて目が離せなくなるから」
けれど、とても威圧的だった。