【完】俺のこと、好きでしょ?



そして、すかさずあたし達の隙をつくと、男子生徒達は足早に走り去って行ってしまった。



「あーあ。傷つけた」


「え、あたしのせい!?」



有馬くんの棒読みな言葉に、振り返って自分を指差し問いかけた。



「まあこれで、今後何もしなくなったら良いけど」



「うん、そうだね。本当におかしいよ。まず、人のものに手をかけようとしてる時点でおかしいって思わないかな?普通……」



「普通はそうでも、俺はあの人たちにとって異物なんじゃない?」



「それでも……何もわかってない。あの絵がどれだけ大切なのかってこと……」



「いいよ別に。わかってもらいたいとも思わないし」



……あ。


まただ。


有馬くんの、一匹オオカミみたいなところ。



人を寄せ付けないような、壁を作る言葉に、胸がチクリと痛む。



だけどそれも、束の間のこと。



「あんたさえわかってくれれば、それでいい」




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