【完】俺のこと、好きでしょ?
「俺も、あんたのその面倒な性格……バカだと思うけど……す、」
「え?」
何か言いかけた有馬くんは、硬まって、そのままチラッとあたしに視線を寄越すと……
「なんでもない」
それだけ言って、プイッとそっぽを向いてしまった。
もはや、横顔すら見えず、有馬くんのサラサラとした髪が目に映る。
「え、なに?すごく気にになるんだけど!」
「うるさい。なんも言ってない」
「言ったよ!すって聞こえた!」
言い返せば、ピクンと有馬くんの肩が小さく跳ねた……気がした。
「違う。…………その性格、他人に悪く言われようと、あんたのいいところだって、俺はわかってるから……って、言おうとしただけ」
あたしの顔を見ずにそう言い放つと、有馬くんは先に背を向けたまま、スタスタと歩き出してしまった。