【完】俺のこと、好きでしょ?
……うわ……なにそれ、反則だよ。
コンプレックスでもあるこの性格を、褒めてくれるなんて……。
どれだけあたしの心臓を振り回せば気が済むんだろう。
「好き……」
小さな声で、ちゃんと届かない声で、その背中につぶやいた。
すると、数メートル先にいる有馬くんがくるりとこちらを振り返った。
ビクッと体を揺らして、あたしは立ち止まる。
もしかして……今の、聞こえた!?
ドギマギとするあたしとは裏腹に、有馬くんはちょっと得意げな顔で笑った。
「見てて」
「……え?」
「あんたは俺のこと、見てて」
つぶやいてから、そのまま男子バスケットのコートに入ってしまった有馬くん。
ああ、今から試合か……。