【完】俺のこと、好きでしょ?
一定のリズムで脈を打つこの胸に、あたしはそっと手を当てる。
……見てるよ。もう、ずっと前から。
むしろ、有馬くんしか目に入ってないのに……。
そんなこと、知る由もない彼が、バスケットボールをシュートしてゴールに決める姿を見つめていた。
……あれ?
待って。なんか、経験者のあたしより上手くない!?
「ナイス、有馬!お前なかなかやるじゃねーか!」
「もう一本決めてこーぜ!」
同じチームのクラスメイトに背中をバシンッと叩かれている有馬くんは、どこから見ても協調性に欠けている人とは思えなかった。
クラスにちゃんと、溶け込んでいる。
……よかった。ちゃんと有馬くん、輪の中に入ってる。
それがまた嬉しくて、有馬くんの行方を見つめていると、シュートを決めた有馬くんが、チラリとギャラリーにいるあたしに視線を寄越した。