【完】俺のこと、好きでしょ？

「ねえ、梓。もしもだよ？もしも、大切な人が自分になにも言わずに急にいなくなったらどう思う？」



「え……？ どうって、普通に寂しいかな」



「だよね……。でも、それを回避する可能性があるとしたら、その方法を試すべきなのかな？」



「んー？ さっきから、言ってる意味がわかんないんだけど……」



……ですよね。


あたしでも、こんな脈絡のない話をされたら困るに決まってる。


自分の説明の下手さに呆れてしまう。



「……まあ、迷わず試す方が美月らしいんじゃない？」



「……え？」



「だってそれが、美月なら相手の役に立つことだって言いそうだもん」



あたしのことをよく知ってくれてる親友の言葉が、妙に心に響いた。



……あたし今、本当は行きたいのに、躊躇ってる。



〝グズグズしてないで行動したら？そう言うの、あんたらしくない〟



……今のあたし、あたしらしくない。