【完】俺のこと、好きでしょ?
「有馬くん……」
昨日とは異なり、制服姿の有馬くんは、あたしを見ていつものように冷静な声で言った。
「何してんの?」
この言葉を聞くのは、大抵あたしがピンチのときだった。
あたしが助けてほしいときに、淡々とあたしの前に現れては、いつもあたしを救ってくれた。
でも今度は……。
今までとはワケが違う。
あたしは焦りを抑えることができない。
「有馬くん、あの完成した絵……棗先輩に見てもらわなきゃ」
「ん……?ああ、また時間があるときに見てもらう予定」
「もう時間なんてないんだよ!」
有馬くんの言葉を遮るように、あたしはつい大きな声で叫んでいた。
ポカンとしている有馬くんの手を取る。