【完】俺のこと、好きでしょ?
「今行かなきゃ、ダメなの!」
「どういうこと……?」
不思議そうに首を傾げる有馬くんを引っ張りながら、あたしは知っていること全てを説明した。
棗先輩が、今日ここから発とうとしていること。
そして、新しくできたギャラリーにいること。
そこで、今までの作品を展示していること。
「あたし、有馬くんに後悔してほしくない。悲しい顔なんて見たくない。笑っててほしい」
「…………」
ずっと助けてもらってきたんだ。
だから、大丈夫。
今度は……今度こそ……あたしが……。
「あたしが有馬くんを助ける番だよ!」
その言葉を合図に、あたしは有馬くんの手を握りなおした。
そして、どちらともなく走り出した。