【完】俺のこと、好きでしょ?
オオカミ君の気持ち
土曜日。
今日は朝から、石原くんと一緒に梓のいる展覧会に来ていた。
初めて来たということもあって、どんな雰囲気なのか全然見当もつかなかったが、会場ではたくさんのお客さんが静かに絵を見て回っていた。
これだけの人がいるのに、会場内は驚くほど静かだ。
「あ、美月!石原! こっちこっち!」
梓があたし達を見つけてくれたおかげで、少し安堵する。
梓の案内もありながら、あたしはみんなと同じように1つ1つの作品をじっくりと鑑賞した。
静かに絵の中の世界を見つめ、描き手の想いを探ってみるが、初心者のあたしにわかるわけがない。
だけど隣にいる梓は、鋭い視線で1つ1つの作品を時間をかけて眺めている。