【完】俺のこと、好きでしょ?
「すげぇな清水。めっちゃ真剣」
「そうだね」
石原くんの耳打ちに、コクコクと頷く。
しばらくあたしも、梓の邪魔をしないよう自分のペースで作品を眺めていた。
やがて、1つのキャンバスの前に来た。
「あ、これ……」
足が地に縫い付けられたかのように、動けなくなった。
暗闇の宇宙の中で、真っ直ぐに光輝いている星。
タイトルは……『慧星』。
棗先輩が最後にここに残した絵だ。
『周りに惑わされず、しっかりと自分を持って、輝き続けますように』
棗先輩と話した日に、絵を見つめながらつぶやいていた彼女を思い出す。
きっと、有馬くんに向けられたと思われるこの絵のメッセージを。