【完】俺のこと、好きでしょ?
「おーい、葉山。次行かねーの?」
「……うん。もうちょっとこの絵を見ていたいから、先に行ってて」
石原くんにそう告げて、彼には先に行ってもらった。
有馬くんへの強い想いを感じるからだろうか……?
この絵の美しく清らかな世界観に引き込まれ、しばらくの間、あたしはそこから動けずにいた。
すると、ふいに誰かがこちらに近づき、あたしのそばで立ち止まる気配がした。
「そんなに熱心に見つめなくてもいいんじゃない?絵に穴があくよ」
「だって……」
あたしは絵に見惚れ、うっとりとため息をつく。
だがしかし、すぐにハッとして我に返った。
……ん!?
今、誰に声をかけられた?
おそるおそる振り返ると、あたしのすぐ後ろには……
「嘘、なんで……?」
私服姿の、有馬くんがいた。