【完】俺のこと、好きでしょ?
「なんでって、俺が来ちゃ悪い?」
「…………」
そんなこと言ってないけど……何も聞いてないからビックリしたし、急すぎて、心の準備ができてないよ。
そんな言葉すら言えない程度には、有馬くんが突然姿を現したことに動揺していた。
「この展覧会が、棗の作品の見納めだと思って来たんだよ」
「あ……」
有馬くんは、そのままゆっくりと棗先輩の絵に近づく。
その目に深く焼き付けるように、ジッと見つめていた。
そっか。
有馬くんは今日、棗先輩の絵を見に来たんだ。
……昨日は、あのあとどうなったんだろう?
有馬くんは、ちゃんと気持ちを伝えたのかな?
2人の関係はどうなったんだろう?
気になるけど、勇気のないあたしは聞けなかった。