【完】俺のこと、好きでしょ?
ちゃんと家でも勉強するのなら、尚更あたしの力なんて必要ないと思うんだけどなぁ。
「石原くん、ちゃんと勉強やる人だから大丈夫だよ」
「いや、普段はやんねーよ。お前のおかげでモチベーション上がってんの」
「えっ?」
首をかしげると、石原くんはどこか緊張した面持ちであたしを見つめる。
いつもの爽やかな笑顔とは打って変わって、真剣だ。
「あのさ……今度、このテストが終わったら……俺と一緒にどっか遊びに行かね?」
少しの間があく。
石原くんの言葉の意味を理解するのに、数秒かかった。
「え……行くってどこに?」
「どこでもいいよ。葉山が行きたいところ」
「……な、なんで?」
素直に頷けばいいのに、あたしは咄嗟にそう聞いてしまっていた。